引用: https://www.lifehacker.jp/2019/05/self-care-for-spring-blues-by-popular-manga-artist.html
ゴールデンウィークが明けたころ、無気力や、疲労感が抜けないなどの症状に代表される「五月病」のリスクが急増します。
これは、入社・転勤といった環境の変化による持続的なストレスが、5月に入って不調として顕在化するからだといわれています。
もし、あなたが五月病と思われる症状を自覚したら、どう対処すべきでしょうか?
もちろん、症状が重ければ、医療機関での受診を考慮すべきでしょう。ですが、そこまでではない場合、セルフケアをやってみるのも手です。
今回は、五月病によく似た不調に長期間悩まされ、試行錯誤の末に克服した漫画家・イラストレーターのカマタミワさんに、どんなセルフケアが有効であったかを伺いました。
疲労感の無限ループを克服したい
──カマタさんは、自身の体験を基に描いた『ひとりぐらしも極まれり』(KADOKAWA)の中で、朝起きてから夜寝るまで疲労感が続くという、五月病のような症状の無限ループについて描かれていますね。
カマタさん:イラストレーターとして独立後、だんだんと仕事が増え、なんとかこなそうとして生活が乱れ、夜中まで働き続けるようになりました。
週に1日も休みがないことが多く、生活を立て直せないまま、仕事漬けの日々が何年も続いたのです。
そのうち眠りが浅くなり、気持ちが塞ぎ、疲れが取れなくなっていきました。
これはまずいと思い、休みを取るようにしたのですが、身体の疲れは多少取れても気持ちが沈んだまま。
精神の方をなんとかしなければ、とストレス解消法を探すようになりました。
最初にヒトカラを試みるも…
──ついに限界に近づき、「これは何とかしなくては」と、打開策を見つける決心をしたのですね。でも、一般的なストレス解消法であるスポーツは苦手、買い物は散財してかえってストレスになるなど却下。そこで、カラオケをセレクトした、と。
カマタさん:一般的にストレス解消と言えばカラオケだ!と思いついて、久しぶりに一人カラオケ(ヒトカラ)をしてみました。でも、逆に神経が高ぶってしまい、その日はなかなか寝付けませんでした…。
単純にストレスが溜まっているだけと思い込んでいたのですが、いろいろと調べた結果、私の症状は「自律神経失調症」の症状だとわかりました。
五月病も医学的に言うと、自律神経失調症が含まれますよね。
手軽なゆっくり入浴の効果は?
──その後いろいろ調べて、同じストレスが原因でも、落ち込んだりイライラしたりと人によって現れる症状が違うし、対応策も異なることをお知りになります。
そして、ご自身は疲れが取れず眠りが浅い症状が出る「不定愁訴タイプ」とわかり、それにふさわしい対策をとる重要性に気づかれましたね。
カマタさん:自分のストレスによる症状が、不定愁訴タイプ…つまり自律神経失調症の症状だと分かってから、手軽に自律神経を整える方法を調べるようになりました。
その中で、ゆっくりお風呂につかることを試したのですが、つい仕事や心配事で頭がいっぱいになってしまい、リラックスできませんでした…。
より専門的な自律訓練法にもチャレンジ
──入浴も効果見られずということで、心療内科の専門サイトでもっと本格的な方法を探し、漸進的筋弛緩法と自律訓練法にチャレンジされましたね。これらは、いかがでしたか?
カマタさん:簡単な方法では結果が出なかったので、より専門的な方法を探すようになりました。
そこで見つけた漸進的筋弛緩法は、そもそも“リラックスした状態”を忘れてしまっている体に、それを思い出させる方法です。
これは私にはかなり効果がありました。体と心は繋がっているので、体の力が抜けると、自律神経も整ってきます。
自律訓練法は、簡単な自己催眠です。こちらも久しぶりに頭の中が静かになり、リラックスできました。どちらの方法も効果が出るまで少し時間はかかりますが、おすすめです!
瞑想にもトライしてみるが…
──そして、瞑想も試していますね。雑念が浮かんでもそれをあるがままに捉える、流行のマインドフルネスとほぼ同じ手法と思いますが、かなりユニークな体験をしたそうで。
カマタさん:瞑想もチャレンジしたのですが、頭の中が変な生き物や芸能人など、おかしなイメージでいっぱいになってしまい…うまくできませんでした(笑)。
多分、半分眠ってしまったんだと思います。合う人には合うと思うのですが、私には難しかったです。
約2カ月の試行錯誤で体調回復へ
──その後も、就寝前のスマホ閲覧禁止、アーユルヴェーダのシロダーラ(オイルを額にたらし続ける)、寝ながらヨガなどいろいろトライしていますね。
その中からご自身に向いているメソッドを絞り込んでいった、と。
カマタさん:半月くらいでまず眠りが深くなったような気がしました。それから、起きている間じゅう、頭の中が考え事でいっぱいだった状態から、すっきりしていることが多い状態へと変化していきました。
そして2カ月くらい経ったころ、“何か楽しいことをしたい”、“見たかった映画や行きたかったイベントに行きたい”と思えるようになりました。
この感覚が数年ぶりで懐かしくて、“私は何年も、楽しいことをしたいと思える元気もなかったのか!”、と驚きました。
回復しても、再発しない根本的な改革が大事
──こうした紆余曲折の体験をもとに、『ひとりぐらしも極まれり』の中で、詳細なチャートを載せていますね。
「あくまでも私の場合」と断り書きはありますが、症状のタイプ別にどんなやり方だと効果的かがわかるので、同じ悩みを持つ人には参考になると思います。
──そのほか、今までの経験の中で、「これは効果あり」とおすすめできるものはありますか?
カマタさん:ギリギリの状態から脱するには、本書にあるチャートがおすすめなのですが、そこから脱することができたら、次は2度とこうならないための根本的な改革が必要だと思いました。
私は、夜遅くまでダラダラ仕事をする自分の生活スタイルが根本原因だったので、“働く時間を絞り、仕事の後はもう仕事のことを考えない!”と、メリハリをつけることで立て直しました。
また、“長時間休みなく働くのが偉い”と、どこかで思っていた自分を反省しました。短時間で集中して仕事を終わらせるために、体力づくりもしているところです。
私も以前は会社勤めをしていたのですが、新入社員の頃はがむしゃらに働きがちだと思います。勤務時間後も仕事のことで頭がいっぱいになっていませんか?
でもそのスタイルだと、どこかで限界が来てしまいます。少しでも、“心や身体が何かおかしいな?”と、思ったら、一度立ち止まってみてくださいね。
体調不良の無限ループから脱するために、さまざまな方法を試してきたカマタさん。多岐にわたるトライアンドエラーの記録は、きっと参考になる部分がいろいろあるはずです。
コミックには、回復までの一部始終が語られているので、そちらもご覧になって、五月病を吹き飛ばしてしまいましょう。
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